就業不能保険はいらない?―会社員に必要な人と不要な人の判断基準をプロが解説―

「就業不能保険はいらない」という意見を耳にして、自分には必要なのか迷っていませんか?

結論としては、十分な貯蓄がある方や公的保障で生活費をカバーできる方には、この保険の優先順位は高くありません。一方で、住宅ローンの返済を抱えている方や、自営業として働いている方にとっては、生活を守るための大きな支えになります。

この記事でわかること 3 点

  • 就業不能保険がいらない人と必要な人の明確な違い
  • 会社員が受け取れる傷病手当金・障害年金のリアルな金額
  • 実際の家計シミュレーションによる生活費の不足額

あなたにとって本当に必要な備えを見極めるために、一緒に確認していきましょう。

結論:就業不能保険が「いらない人」と「必要な人」

病気やケガで長期間働けなくなったときの収入減少に備えるのが、就業不能保険です。

「全員に必須」というわけではなく、ご自身の働き方や貯蓄額によって必要性は大きく変わります。

就業不能保険がいらない人の特徴(貯蓄・独身など)

もしもの時に、自分のお金や会社の制度で生活を維持できる方は、無理に加入する必要はありません。

  • 十分な貯蓄(生活費の半年〜1年分以上)がある方
  • 独身で扶養家族がおらず、実家暮らしなどで生活費を抑えられる方
  • 有給休暇や会社の休職制度(見舞金など)が手厚い会社員の方

日々の生活費が少なく、万が一の際も手元の貯蓄で十分に乗り切れるのであれば、保険料を別の貯蓄や投資に回すのも一つの賢い選択肢です。

就業不能保険が必要な人の特徴(自営業・住宅ローンなど)

逆に、収入が途絶えるとすぐに家計が立ち行かなくなる方は、備えを急ぐ必要があります。

  • 自営業・フリーランスの方
  • 住宅ローンや教育費など、毎月の固定支出が大きい会社員の方
  • 貯蓄が少なく、数ヶ月収入が減ると家計が回らなくなる方

特に自営業の方は、会社員のような手厚い公的休業補償がありません。また、会社員であっても、毎月必ず出ていくお金が多いご家庭は、収入減少の影響をダイレクトに受けてしまいます。

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本当に無駄?まず知るべき公的保障「傷病手当金」と「障害年金」

「会社員なら公的な制度があるから保険は不要」という声もあります。確かに会社員には心強い制度が用意されていますが、中身を正しく理解しておかないと、「もらえると思っていたのに足りない」という事態になりかねません。

会社員の最強の盾「傷病手当金」の仕組み

傷病手当金の支給期間と金額イメージ図

会社員が病気やケガで連続して3日間休み、4日目以降も働けない場合、加入している健康保険から傷病手当金が支給されます。金額は、休む前の給与(標準報酬月額)のおおよそ3分の2です。期間は、支給開始日から通算して最長1年6ヶ月に及びます。 kyoukaikenpo.or.jp

毎月の給与が全額もらえるわけではない点に注意してください。

長期化した場合の「障害年金」

1年6ヶ月の傷病手当金が終わった後もまだ働けない状態が続く場合は、障害年金という制度があります。病気やケガによって生活や仕事に制限を受ける状態になったとき、一定の条件を満たすことで受け取れる年金です。 nenkin.go.jp

ただし、受け取るには障害等級に該当するなどの審査があり、すぐに十分な金額が振り込まれるわけではありません。

自営業(国民健康保険)は傷病手当金がない点に注意

自営業やフリーランスの方が加入する国民健康保険には、原則として傷病手当金の制度がありません。つまり、働けなくなったその日から、収入がゼロになるリスクを抱えています。そのため、ご自身で就業不能保険などを活用して備えを作る優先度が非常に高くなります。

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【シミュレーション】会社員が休職した場合のリアルな収支不足額

「給与の3分の2もらえるなら、節約すればなんとかなるかな」と考える方も多いかもしれません。しかし、実際の家計相談では、「思った以上にお金が減っていく」と焦る声をよく耳にします。ここでは、具体的な数字で見てみましょう。

額面30万円の会社員・佐藤さん(32歳)のケース

額面給与が30万円の場合、健康なときの手取り額は約24万円です。

休職して傷病手当金を受け取る場合、支給額は約20万円になります。「手取りが4万円減るだけなら大丈夫」と思うかもしれませんが、ここからが落とし穴です。

盲点!傷病手当金から引かれるお金と増える支出

実は、傷病手当金をもらって休職している間も、厚生年金や健康保険などの社会保険料や住民税の支払いは続きます。つまり、手元に入ってくる休職中の「実質的な手取り」は、20万円からさらに数万円引かれた金額になってしまうのです。

以前、「傷病手当金があるから大丈夫」と考えていたお客様が、休職中に社会保険料の支払いに加え、毎月の通院費や薬代として数万円の支出が上乗せされ、あっという間に貯蓄が減ってしまったとご相談に来られたことがあります。

収入は減るのに、出ていくお金は健康なときよりも増える。この「負のダブルパンチ」により、毎月5万円〜8万円の赤字が続くケースもあるので注意が必要です。

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納得して決める!就業不能保険の必要性チェックステップ

それでは、ご自身に保険が必要かどうかを客観的に判断するための、具体的な3つの手順をご紹介します。

Step1:毎月の固定費と生活費を書き出す

まずは、今の生活にいくらかかっているのかを把握します。住宅ローンの返済、家賃、水道光熱費、お子様の教育費など、収入が減っても絶対に削れない支出をリストアップしてください。

Step2:公的保障(傷病手当金など)の受給額を計算する

次に、万が一の際にもらえるお金を確認します。会社員であれば、ねんきん定期便や給与明細をもとに傷病手当金の目安額を算出します。また、お勤めの会社の就業規則を必ず確認してください。会社によっては、独自の「付加給付」や「見舞金」といった手厚いサポートがある場合もあります。

Step3:不足額 × 療養期間(例:1年)と貯蓄を見比べる

Step1の支出からStep2の収入を引いて、毎月の「赤字額(不足分)」を出します。
仮に毎月8万円足りない場合、1年間休職すると約100万円の貯蓄が減ることになります。ご自身の手持ちの貯蓄でこの金額を余裕を持ってカバーできるなら、保険加入の優先度は低いです。もしカバーできず、生活が行き詰まる不安があるなら、就業不能保険でその不足分を補うことをおすすめします。

就業不能保険に関するよくある質問(FAQ)

検討する際の素朴な疑問にお答えします。

Q. うつ病などの精神疾患でも給付対象になりますか?

A. 保険商品によって大きく異なります。精神疾患は一切対象外のものや、入院した場合のみ対象となるもの、また「所定の就業不能状態が〇日続いた場合」と条件が細かく設定されているものがあります。ご加入前に対象となる病気の範囲をしっかり確認してください。

Q. 「収入保障保険」とは何が違うのですか?

A. 就業不能保険は「生きているけれど病気やケガで働けない時」にご自身の生活費を補う保険です。一方、収入保障保険は「万が一亡くなった時(または高度障害状態になった時)」に残されたご家族の生活費をまかなうための保険です。目的が全く異なるため、備えたいリスクに合わせて選ぶ必要があります。

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まとめ:迷ったときはプロのシミュレーションを活用しよう

就業不能保険は、全員に必須なわけでも、誰にとっても無駄なわけでもありません。現在の貯蓄額、働き方、そして公的保障の仕組みをしっかり理解した上で、冷静に判断を下すことが大切です。

とはいえ、「自分の給与だと傷病手当金はいくらになるのか」「将来の教育費も考えると、今の貯蓄で本当に足りるのか」を一人で正確に計算するのは、とても大変な作業です。

もし少しでも不安を感じたら、私たちほけんの110番の無料相談を活用してみませんか。お金のプロであるFPが、あなたのご家庭の状況に合わせたリアルなシミュレーションを作成し、本当に必要な備えを一緒に考えていきます。

参考文献

[1] 全国健康保険協会, 公開日不明:傷病手当金|給付と手続き|協会けんぽ

[2] 日本年金機構, 公開日不明:ねんきんネット|日本年金機構

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