家計の見直しは保険から?―保険料を抑えて保障を守る方法―

家計を見直すなら、毎月の固定費である保険料の確認から始めると、支出の整理につながりやすくなります。

ただし、保険は安くすればよいものではありません。保障内容や公的保障を確認し、家族に必要な備えを残しながら整理していきましょう。

この記事でわかること 3点

  1. 家計見直しで保険料を確認すべき理由
  2. 保険料を抑えながら必要な保障を残す考え方
  3. 保険を見直す手順と注意点

家計を見直すなら、まず保険料を確認しよう

家計を見直すとき、多くの人が最初に思い浮かべるのは食費や日用品費の節約です。もちろん、毎日の買い物を工夫する方法もあります。

ただ、食費を毎月大きく削るのは簡単ではありません。家族の人数や生活スタイルによっては、無理な節約がストレスになることもあります。

一方で、保険料は毎月または毎年支払う固定費です。生命保険、医療保険、がん保険、学資保険、自動車保険、火災保険など、複数の保険に入っている家庭では、合計すると想像以上の金額になっている場合があります。

たとえば、夫婦で生命保険と医療保険に入り、さらに子どもの学資保険や自動車保険も支払っている家庭では、月々の保険料が数万円になることもあります。家計簿では一つひとつの金額が小さく見えても、合計してみると大きな固定費です。

まずは、次のように書き出してみてください。

ただし、保険料を見直す目的は、単に支出を減らすことではありません。

保険は、病気やけが、死亡、災害など、家計だけでは対応しきれないリスクに備えるものです。必要な保障まで減らしてしまうと、万一のときに貯蓄を大きく取り崩すことになりかねません。

保険料を見るときは、「高いから解約する」ではなく、「今の家計と家族に合っているか確認する」という順番で考えましょう。

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家計見直しで確認したい保険の種類

保険を見直すときは、まず加入している保険の種類を整理します。名前は似ていても、備えているリスクはそれぞれ違います。

生命保険は「誰の生活を守るか」で考える

生命保険の中でも、死亡保険は、被保険者に万一のことがあったときに遺族の生活費や教育費を支えるための保険です。

たとえば、小さな子どもがいる家庭で主な収入を得ている人に万一のことがあると、残された家族には、少なくとも、生活費、住居費、教育費といった多大な経済的負担が発生します。このような家庭では、死亡保障の役割は大きくなります。

一方で、子どもが独立したあとや、夫婦それぞれに十分な収入と貯蓄がある場合は、大きな死亡保障が必要とは限りません。

生命保険は、「誰に、どれくらいのお金を残す必要があるか」を考えて見直します。

医療保険・がん保険は公的保障も踏まえて考える

医療保険は、入院や手術などに備える保険です。がん保険は、がんの治療や治療中のQOLに備える目的で加入する人が多い保険です。

ここで確認したいのが、公的医療保険との関係です。日本には、医療費の自己負担が高額になったときに負担を軽くする高額療養費制度があります。厚生労働省は、高額療養費制度について、医療機関や薬局の窓口で支払った額が一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度と案内しています。[1]

もちろん、公的保障だけで十分かどうかは、収入、貯蓄、家族構成、治療中の生活費によって変わります。

医療保険やがん保険を見直すときは、「入院費に備える保険」だけでなく、「働けない期間の生活費をどうするか」も考えておくと安心です。

学資保険・個人年金保険は目的と解約リスクを確認する

学資保険は教育資金、個人年金保険は老後資金の準備として加入しているケースがあります。これらは保障だけでなく、将来のお金を準備する目的を持つ商品です。

そのため、保険料が高いからといってすぐに解約すると、タイミングによっては解約返戻金が払込保険料を下回ることがあります。特に学資保険は、子どもの進学時期に合わせて設計している場合が多いため、解約前に「いつ、いくら受け取る予定だったのか」を確認しましょう。

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保険料を下げる前に確認すべき3つのこと

保険料を下げたいと感じたら、最初に見るべきなのは保険料の金額ではありません。

先に確認したいのは、保障内容・公的保障・必要保障額の3つです。

1. 保障内容:何にいくら備えているかを確認する

保険証券や契約内容のお知らせを見ながら、加入中の保障を整理します。

確認するポイントは次のとおりです。

よくあるのは、医療保険とがん保険で似た保障が重なっているケースです。

また、昔加入した保険に特約が多く付いていて、今の生活では使う可能性が低いものが残っている場合もあります。

2. 公的保障:民間保険で補う範囲を考える

民間保険を見直す前に、公的保障でどこまで対応出来るかを確認します。

医療費については、健康保険や高額療養費制度があります。死亡保障については、条件を満たす遺族が遺族年金を受け取れる場合があります。日本年金機構は、遺族年金について、国民年金または厚生年金保険の被保険者などが亡くなったときに、その人に生計を維持されていた遺族が受け取れる年金としています。[2]

ただし、公的保障は家族構成や働き方によって内容が変わります。会社員、自営業、共働き、専業主婦または専業主夫がいる家庭では、備えるべき金額も異なります。

公的保障を確認したうえで、足りない部分を民間保険で補う。この順番にすると、保険料を下げても不安が残りにくくなります。

3. 必要保障額:家族構成とライフイベントで変わる

必要保障額とは、万一のときに家族が生活を続けるために必要なお金の目安です。

たとえば、同じ30代でも、独身の人と子どもが2人いる人では必要な死亡保障は大きく変わります。住宅ローンがあるか、配偶者に収入があるか、子どもの教育費がどれくらい必要かによっても変わります。

端的に考えるなら、次の流れです。

  1. 家族に今後必要なお金を書き出す
  2. 遺族年金や勤務先の保障など、入ってくるお金を確認する
  3. 貯蓄でまかなえる分を差し引く
  4. 足りない分を民間保険で備える

「昔入ったまま」の保険は、今の家族構成に合っていない場合があります。

結婚、出産、住宅購入、子どもの独立、退職などの節目では、必要保障額を見直しましょう。

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家計を守りながら保険を見直す手順

ここからは、実際に保険を見直す流れを紹介します。

紙に書いても、表計算ソフトや家計簿アプリを使っても構いません。家族で共有しやすい方法を選んでください。

STEP1:毎月の保険料をすべて書き出す

まず、加入中の保険をすべて一覧にします。

生命保険や医療保険だけでなく、自動車保険、火災保険、学資保険も含めます。

年払いの保険は、年間保険料を12で割って月額に直しましょう。

月額にそろえると、家計への負担が見えやすくなります。

STEP2:保険証券で保障内容を確認する

次に、保険証券を見ながら保障内容を確認します。

保険料だけを見ると「高い」「安い」で判断しがちです。

しかし、同じ月1万円の保険でも、死亡保障が大きいもの、医療保障が中心のもの、貯蓄性があるものでは意味がまったく違います。

チェックする項目は、以下です。

  • 何に備える保険か
  • いくら受け取れるか
  • いつまで保障されるか
  • いつまで保険料を払うか
  • 更新で保険料が上がるか
  • 特約が多すぎないか

STEP3:保障の重複や不足を見つける

一覧にすると、保障の重複や不足が見つかりやすくなります。

たとえば、医療保険に入院保障があり、がん保険にも入院保障がある場合、内容が一部重なっている可能性があります。

一方で、医療保障は手厚いのに、子どもが小さい家庭で死亡保障が少ないケースもあります。

保険料を下げたいときは、まず重複している保障や、必要性が薄れている特約から確認しましょう。

必要な保障を削るより、家計への影響を抑えながら整理しやすくなります。

STEP4:見直し候補を「残す・減らす・相談する」に分ける

最後に、加入中の保険を次の3つに分けます。

「相談する」に入れた保険は、自己判断で急いで解約しないほうが安心です。

特に、貯蓄型保険や加入から年数がたっている保険は、解約する前に戻るお金や今後の保障を確認してください。

保険を見直すタイミングはいつ?

保険は、一度入ったら終わりではありません。

家族構成や収入、住まい、働き方が変わると、必要な保障も変わります。

結婚・出産・住宅購入のとき

結婚すると、家計を一緒に管理する機会が増えます。

出産後は、子どもの生活費や教育費を考える必要があります。住宅購入後は、住宅ローンや団体信用生命保険との関係も確認したいところです。

このタイミングでは、死亡保障や医療保障を中心に見直します。

特に子どもが小さい時期は、残された家族の生活費や教育費をどう守るかを考えましょう。

子どもの独立・退職が近づいたとき

子どもが独立すると、大きな死亡保障の必要性が下がる場合があります。

一方で、退職が近づくと、医療費や介護費、老後資金とのバランスが気になり始めます。

保険料を払い続けるより、貯蓄や生活費に回したほうがよいケースもあります。

ただし、年齢が上がると新しい保険に入りにくくなったり、保険料が高くなったりします。見直しは早めに始めると選択肢が広がります。

保険料が家計を圧迫していると感じたとき

毎月の貯蓄ができない、教育費の支払いが増えてきた、住宅ローンと保険料の負担が重い。

このように感じたときも、保険を確認するタイミングです。

ただし、家計が苦しいからといって、いきなり全体を削るのは避けましょう。

まずは保険料の合計を出し、次に保障内容を見ます。最後に、残す保障と見直す保障を分けてください。

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保険見直しでやってはいけない注意点

保険の見直しで避けたいのは、解約を急ぐあまり保障の空白を作ってしまうことです。

保険料を下げたい気持ちが強いと、すぐに解約したくなるかもしれません。けれど、順番を間違えると、あとで困る場合があります。

新しい保険に入る前に今の保険を解約しない

新しい保険に申し込んでも、必ず加入できるとは限りません。健康状態や過去の病歴によっては、条件が付いたり、加入できなかったりすることがあります。そのため、今の保険を解約するのは、新しい保険の契約が成立し、保障が始まる日を確認してからにしましょう。

先に解約すると、病気やけがをしたときにどの保険からも保障を受けられない期間が生まれるおそれがあります。

告知・免責期間を確認する

保険に加入するときは、健康状態や過去の病歴などを申告する「告知」が必要になる場合があります。告知内容によって、保険会社は加入できるかどうかを判断します。また、保険によっては、契約後すぐにすべての保障が始まらない場合があります。がん保険などでは、一定期間は保障の対象外となる「免責期間」が設けられている商品もあります。

見直しの前には、次の3点を確認してください。

  • 新しい保険に加入できるか
  • 保障が始まる日はいつか
  • 免責期間があるか

解約返戻金や元本割れを確認する

貯蓄型の保険を解約する場合は、解約返戻金を確認します。

加入してからの年数や契約内容によっては、戻ってくるお金が払った保険料の合計を下回ることがあります。学資保険や個人年金保険は、目的がはっきりしている保険です。

保険料が負担に感じても、解約以外に払済保険や減額などの方法が選べる場合があります。契約内容によって選択肢は変わるため、保険会社や専門家に確認しましょう。

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保険相談を利用する前に準備しておくもの

保険の見直しは、自分だけでもある程度進められます。ただ、保障内容が複雑な場合や、解約返戻金、告知、税金などが関係する場合は、専門家に相談したほうが整理しやすくなります。相談前に資料をそろえておくと、話がスムーズに進みます。

保険証券・契約内容のお知らせ

現在の保障内容を確認するために、保険証券や契約内容のお知らせを用意しましょう。

保険会社が複数ある場合は、すべて持っていくと全体像を見てもらえます。古い契約でも、今では入れない条件のよい保障が残っている場合があります。「古いから不要」と決めつけず、内容を見てから判断してください。

家計の支出がわかるもの

保険は家計の一部です。保険だけを見ても、毎月いくらまでなら無理なく払えるのか判断しにくい場合があります。次のような資料があると、家計に合う保険料を考えやすくなります。

  • 家計簿アプリの画面
  • 通帳やクレジットカード明細
  • 毎月の固定費一覧
  • 住宅ローンの返済額
  • 教育費の予定

家族構成と今後のライフイベント

家族構成や今後の予定も整理しておきましょう。たとえば、子どもの進学、住宅購入、転職、独立、退職などが近い場合、必要な保障は変わります。相談時に伝えられるように、数年以内に起こりそうなイベントを書き出しておくと安心です。

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ケース別:家計と保障のバランスをどう考える?

保険の見直しに正解は一つではありません。

家族構成や働き方によって、残すべき保障と見直しやすい保障は変わります。

子育て世帯の場合

子育て世帯では、死亡保障と教育費への備えを優先して確認します。子どもが小さいほど、生活費や教育費を長く準備する必要があります。一方で、医療保障やがん保障が複数重なっている場合は、内容を整理できる可能性があります。

「保険料を下げたい」と思ったら、死亡保障をいきなり削るのではなく、まず重複している保障や使っていない特約を確認してください。

共働き夫婦の場合

共働き夫婦は、どちらか一方に万一のことがあった場合の家計を考えます。

片方の収入がなくなっても生活できるのか、住宅ローンや教育費は払えるのかを見ておきましょう。よくあるのは、夫の保障は手厚い一方で、妻の保障が少ないケースです。

家計への貢献は収入だけではありません。家事や育児の負担が変わることも含めて考えると、必要な保障が見えやすくなります。

独身・夫婦のみ世帯の場合

独身の人や夫婦のみの世帯では、大きな死亡保障が必ず必要とは限りません。ただし、病気やけがで働けなくなったときの生活費、医療費、老後資金とのバランスは確認しておきたいところです。

貯蓄が少ない時期は、医療保障や就業不能への備えを優先する考え方もあります。

反対に、十分な貯蓄がある人は、保険料を抑えて貯蓄や資産形成に回す選択もあります。

よくある質問(FAQ)

家計の見直しで保険料はどれくらい下げられますか?

加入している保険の内容、家族構成、年齢、健康状態によって変わります。保障の重複や使っていない特約があれば、保険料を下げられる場合があります。まずは保険料の合計と保障内容を書き出してください。

保険を解約しても大丈夫ですか?

解約してよいかは、保障内容、健康状態、家族構成、貯蓄額によって変わります。新しい保険に入れるか、保障の空白がないか、解約返戻金に不利がないかを確認してから判断しましょう。

無料の保険相談は本当に利用して大丈夫ですか?

無料相談を利用する場合は、取扱保険会社の数、担当者の説明の分かりやすさ、契約を急がせない姿勢を確認しましょう。その場で決めず、提案内容を持ち帰って家族で話し合うと安心です。

保険の見直しは何年ごとにすべきですか?

年数だけで決めるより、結婚、出産、住宅購入、子どもの独立、退職などのライフイベント時に確認するのがおすすめです。特に、収入や支出が大きく変わったときは早めに見直しましょう。

保険料が高いと感じたら最初に何をすればよいですか?

まず、加入中の保険をすべて書き出してください。次に、保険証券で保障内容を確認します。そのうえで、重複している保障、不足している保障、専門家に相談したい保険に分けると整理しやすくなります。

公的保障があれば民間保険はいらないですか?

公的保障で一定の備えはできますが、家族構成や収入、貯蓄額によって不足する場合があります。民間保険は、公的保障だけでは足りない医療費、生活費、教育費などを補うものとして考えましょう。

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まとめ:保険は「削る」より「家計に合わせて整える」

家計を見直すとき、保険料は確認しやすい固定費の一つです。ただし、保険は支出であると同時に、家族を守る備えでもあります。保険料を下げたいときは、次の順番で進めてください。

  1. 加入中の保険料をすべて書き出す
  2. 保険証券で保障内容を確認する
  3. 公的保障で備えられる範囲を知る
  4. 必要保障額を家族構成に合わせて考える
  5. 残す保険、減らす保険、相談する保険に分ける

迷ったときは、保険証券と家計の支出がわかるものを用意し、専門家に相談してみてください。

保険は「やめるか続けるか」だけでなく、家計と家族に合わせて整えるものです。

参考文献

[1] 高額療養費制度を利用される皆さまへ - 厚生労働省, 公開日不明

[2] 遺族年金 - 日本年金機構, 公開日不明

[3] 家計調査 - 総務省統計局, 公開日不明

[4] 生命保険文化センター - 公益財団法人生命保険文化センター, 公開日不明

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